学びより生活費 バイト追われ疲労 沖縄県高校生調査中間報告


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居酒屋でアルバイトをする高校生の男女=本島南部

 困窮世帯では約半数、非困窮世帯でも3割がアルバイト経験があることが明らかになった沖縄県高校生調査中間報告。交通費や学校行事費など不可欠な費用もバイト代から出して家計を助ける。「授業中は眠い」「部活よりバイト」と学校生活が圧迫される生徒も少なくない。公共交通機関が不十分なためバイクや親の送迎が必要で、離島地域では本島や県外への進学費用がかさむなど、島しょ県ならではの苦境も浮かび上がった。

 本島北部の2年生の女子生徒(17)は通学に往復440円のバス代、弁当代、飲み物代で1日千円、月2万円ほど必要だ。ガソリンスタンドなどで週5日働き、稼ぎの一部は家にも入れていた。「親にもらうより自分で働く方が気が楽」と話した。

 離島の2年生の女子生徒(17)も週5日は飲食店で働き月5万円ほどを稼ぐ。きょうだいが小さい上、島外への進学は生活費もかさむ。当面は修学旅行代、その後は進学費用をためるつもりで平日は放課後から午後9時ごろまで、土日は朝から働く日もある。忙しい母親に代わって朝食や弁当も作り「授業中はいつも眠い」と淡々と語った。

 看護師を目指す本島中部の女子生徒(16)は、運転免許や進学費用のため週6日、居酒屋で働く。バスケットボールが好きで入部したが、バイトとの両立が厳しく最近は行けていない。女手一つで育ててくれる母親が、仕事に疲れた様子を見ると、お小遣いをもらうのも気が引ける。「部活よりお金が大切。給付型奨学金があれば(部活を)続けられるのに」とつぶやいた。

 定時制2年生の男子生徒(18)は週4~5日、ガソリンスタンドでアルバイトをして買ったバイクで通学する。月8万~9万円稼ぐが教科書代や、携帯代も自分で払い、貯金はできていない。「疲れるが翌日には回復している」と吹っ切れたように話した。

 県高校生調査は2年生が対象だ。複数の教諭は「進学目指して頑張ってきても、受験や入学手続きの段階でお金が足りず就職に回る生徒が毎年いる」とし、生徒の頑張りでは補い切れず、進路を断念することもあると指摘した。