指定避難所、沖縄県内の8市町村なし 18市町村は耐震性不安


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 沖縄県内41市町村のうち、被災者を必要な間滞在させるための指定避難所が8市町村で指定されていないことが8日までに分かった。本紙が実施したアンケートで判明した。また、18市町村は耐震性が確保されていない恐れのある建物を指定避難所に指定していた。震災対策に詳しい防災士の稲垣暁氏は「行政側に住民の命を預かっているという意識が足りない。過去の災害から何も学んでいない」と批判した。

 指定避難所は東日本大震災を契機に2013年、改正災害対策基本法により各市町村に設置が義務付けられた。

 建物の耐震性については明記されていないが、内閣府の防災被災者行政担当者は「日本は地震大国と呼ばれるほど地震が頻発している。地震災害を想定せずに指定避難所を選定しているのは現実的ではない」と話し、認識の甘さを指摘した。

 指定避難所がないのは石垣市、名護市、沖縄市、豊見城市、読谷村、座間味村、八重瀬町、竹富町の8市町村。指定避難所の指定が遅れている理由として8市町村全てが「以前から周知している避難所がある」とした。

 13年の災害対策基本法改正では、指定避難所の指定と県への報告、公示までが義務付けられている。県は市町村から報告を受けた後、国へ報告する。内閣府担当者は「一定期間生活を送る指定避難所がどこにあるか分からなければ救援物資の配給に遅れが出る。救援活動にも影響する」と指摘し、指定避難所の指定を急ぐべきとの考えを示した。

 指定避難所がない8市町村のうち、竹富町以外は「17年度以降に指定または検討を予定している」と回答した。竹富町は「現時点では検討事案に上がっていない」とし、「職員が少なく、指定できるような建物もない」ことを理由に挙げた。

 旧耐震基準時の建築物または耐震診断で耐震性が低いことが判明した建物を指定避難所に選定している市町村は浦添市、今帰仁村、嘉手納町など、少なくとも18市町村あった。新耐震基準が示された1981年6月の改正建築基準法移行の建築物でも、旧法適用時に建築許可が下りたものであれば旧耐震基準しか満たしていない恐れもあり、実際にはさらに多くなる可能性もある。
(嘉数陽)