南西諸島に生息する野鳥で、県が準絶滅危惧種に指定している「リュウキュウサンショウクイ」の目撃情報が今冬、東京都や埼玉県で相次いでいる。
専門家は近年、本州で個体数が減少しているサンショウクイの生息域に、リュウキュウサンショウクイが参入する構図の「陣取り合戦」や、温暖化の影響で南方系鳥類の生息域が北上した可能性などを挙げている。
リュウキュウサンショウクイはスズメ目の小鳥で、体長は20センチほど。もともとは沖縄県や九州南部にのみ留鳥として生息していたが、1990年代ごろから次第に九州北部や四国地方でも観察され、この冬初めて東京などでも観察された。東京都在住の大室清さんが今年1月に都内の公園でリュウキュウサンショウクイを見つけ、目撃情報の提供を呼び掛けていたNPO法人バードリサーチに連絡した。
バードリサーチの三上かつらさんは「さまざまな要因があると思うが、温暖化に伴う生息域の北限上昇もその一つではないか」と指摘した。沖縄野鳥の会の山城正邦会長も同様の見解を示した上で「情報提供の呼び掛けに応じた愛鳥家が注意深く観察したことなども影響したのでは」と話した。(当銘千絵)