福島を思い、県内避難者ら祈り 


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地震発生時刻の午後2時46分に手を合わせ、祈りを捧げる避難者や移住者、地域の人たち=11日、糸満市潮平

 東日本大震災で故郷を離れ県内で暮らす、避難者や移住者が集う「福の島まつり」(福島避難者のつどい沖縄じゃんがら会主催)が11日、糸満市潮平の沖縄山城間院長谷寺で開かれた。東北・関東地方などからの避難者や移住者が互いにゆっくり話せる場や生活相談の場が設けられ、地震の発生した午後2時46分に一斉に黙とうした。参加者らは涙を浮かべながらも「あの日を忘れない。明日からもまた歩き続けよう」と語り、会場は静かな祈りに包まれた。

 福島県いわき市から避難してきた、沖縄じゃんがら会の大貫寛之事務局長(43)は「明日から未来が始まる。一歩一歩進んでいきたい」と前を向いた。

 会場は子どもたちの笑い声が響き、同郷の人との会話が弾む一方で、知り合いとの再会に笑顔を見せながらも、唇をかみしめ涙をこぼす参加者の姿もあった。

 法要後、涙が止まらず「どうにもなんねえな。帰りたいけど帰れない」とつぶやいたのは、2011年4月に福島県南相馬市から夫と避難してきた島和子(よりこ)さん(79)=那覇市。夫は14年に他界し、現在は1人暮らし。事故前は夫、長男家族と6人で暮らしていたが、現在長男夫婦は埼玉県に暮らしているという。

 島さんは「沖縄の人に良くしてもらっているけど、家族ばらばらが一番つらい」と話した。