サトウキビ、17年ぶり水準 沖縄の今期生産量90万トン超へ 多雨や施肥支援が寄与


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄の基幹作物であるサトウキビの今期(2016-17年産)の県内生産量が90万トンを超える見通しとなったことが、13日までに業界団体のまとめで分かった。生産量が90万トンを超えるのは1999-2000年産以来、17年ぶり。今期の生産量は16年11月時点で82万トンと見積もられていたが、約8万トン増える。前年比では15万トンほど増える見込み。JAおきなわによると、2月末時点の平均糖度は前年同期比0・86度高い14・35度と基準糖度帯(14・3度)を上回った。産糖量は10万トンを超える勢いだ。

 糖業関係者からは「原料の生産量、糖度ともに上昇し、農家の手取りの上昇が見込まれる」と期待の声が上がっている。

 白砂糖の原料を製造する工場で構成する日本分蜜糖工業会によると、県内8社9工場でのサトウキビ原料の生産量予測は2月22日時点で約84万トン。黒砂糖製造などの含蜜糖工場をまとめる県黒砂糖工業会も、2月1日時点で6万6千トンを見込み「さらに増える可能性がある」と話す。分蜜、含蜜を合わせて現時点で90万6千トンの生産予測があり、今期のサトウキビ生産量が90万トンを突破する可能性が高い。

 分蜜糖のうち南北大東島では前期比で8割以上多い12万7千トン、沖縄本島地域を管轄するゆがふ製糖では2万2813トン多い17万9506トンを見込むなど各地とも好調だ。

 今期のサトウキビ生産は一部を除いて台風の直撃がなかった。梅雨が明けた7月以降も雨が多く、成長期だったサトウキビの育成に大きく貢献した。国や県による施肥支援や害虫駆除などのサトウキビ増産対策も奏功した。

 県内のサトウキビ生産は2011-12年産が台風や病害虫被害の影響で54万トンにまで落ち込んだが、その後は農家や関係機関の増産に向けた対策により、回復基調が続いていた。

 宮古島地方ではサトウキビの生産量が5万トン多い40万トンを超える見通しだ。宮古製糖の安村勇社長は「十数年ぶりに好調だ。天候に恵まれたことに加え、(1年ごとに収穫する)株出しに農家が慣れてきたことも増産につながった。工場の操業期間を当初予定より2週間ほど延ばす方針だ」と意欲を見せた。(知念征尚)