社会

ニュース女子検証番組 すり替え、メディア批判… 「巧妙に主張正当化」

 東京メトロポリタンテレビジョン(MX)の番組「ニュース女子」が沖縄の基地反対運動をテロリストに例えるなどの内容を放送した問題で、動画投稿サイトで13日に公開された制作会社DHCシアターによる「続編」は、六つの論点について再取材し検証する内容だった。だが論点の提示の仕方や再取材の内容に、問題のすり替えやメディア批判が見られた。メディア論に詳しい専門家は「自分たちの主張を正当化しようという巧妙さを感じる。県内2紙が左翼的で偏った報道をしているという偏見を増幅させる懸念がある」と指摘した。

 論点の一つは「『二見杉田トンネル』で危険だと引き返したのは問題か」という提起だった。これに対し「撮影スタッフの安全に配慮し、撮影を中止した」と説明。トンネルから抗議行動の現場の東村高江まで約25キロと距離は示したものの、二見以北に住民が住んでいることなどに触れず、危険部分を過度に強調した。

 前回の放送は、2万円の文字があった「茶封筒」について、あたかも日当かのような印象を与える映像を流した。しかし、続編では茶封筒を検証せず、「日当をもらった」という当事者の証言を示さななかった。手弁当で参加する人がいることには言及しなかった。

 「『反対派は救急車の通行も妨害している』という証言の真実は」との論点は、再取材で消防本部の署長の「妨害の事実はない」という証言を紹介。一方で「徐行した」との発言を引き出し、「メディアは都合のいいストーリーを作って報道している」などとメディア批判に矛先を変えた。

 さらに「高齢者を『逮捕されても生活に影響がないシルバー部隊』と表現したのは問題だったか」という論点の提起については、1月の放送では「過激派デモの武闘派集団『シルバー部隊』」という表現をしていた。今回は「シルバー部隊」に省略し、断りを入れないまま表現を変えた。

 前回、東村高江の基地建設現場を訪問しなかった軍事ジャーナリストの井上和彦氏の取材について「極めて誠実に取材したことが検証された」と締めくくった。

 上智大学新聞学科の水島宏明教授は「『自分たちが正しい』という姿勢は全く変わっておらず、居直っている。番組をインターネット上に流すこと自体、BPO(放送倫理・番組向上機構)の権威を認めていない」と指摘。その上で「トランプ政権の影響で、何が真実か分からない『ポスト真実』時代になっている。沖縄の問題もその次元に突入しているというのがよく分かる番組だ」と述べた。

 東京MXは「BPO審議に影響を及ぼす可能性がある」として地上波放送を見送り、同テーマで独自に取材制作・放送する方針だ。