目取真氏の「眼の奥の森」英訳単行本に 沖縄文学の長編は初 


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「眼の奥の森」を翻訳した素民喜琢磨沖縄国際大教授

 芥川賞作家の目取真俊さんの長編小説「眼(め)の奥の森」(影書房、2009年)が6月13日にペーパーバックの英訳単行本として米国で出版される。英語タイトルは「In the Woods of Memory(イン・ザ・ウッズ・オブ・メモリー)」。沖縄国際大学の素民喜(すみんき)琢磨教授が翻訳した。沖縄文学で長編の英訳単行本化は初めて。

 「眼の奥の森」は2004年から07年まで季刊「前夜」に連載され、沖縄戦末期の本島北部で、4人の米兵に少女が襲われる事件を発端として、少女のあだを討とうと米兵を狙う若者や加害米兵ら10人の視点で物語が展開し、現代に至る悲しみの連鎖を描く。言語的な実験も試みており、目取真文学の最高傑作と評されている。

 沖縄文学の英訳は、1989年に大城立裕さんの「カクテル・パーティー」と東峰夫さんの「オキナワの少年」を1冊にして出版された。近年、ハワイ大学出版で複数のアンソロジーが企画され、短編小説や詩が収録されている。

 米国生まれの素民喜教授は2004年に沖縄国際大に赴任以来、沖縄文学の翻訳を手掛けてきた。

 版元は日本や中国の文学作品などを翻訳出版している米国のストーン・ブリッジ・プレス。1965円。

英文へ→Medoruma’s In the Woods of Memory to be first Okinawan novel published as stand-alone English book