県、来月にも工事差し止め提訴 辺野古新基地、国の不申請に対抗


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 翁長雄志知事

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、3月末に期限を迎える岩礁破砕許可について沖縄防衛局が更新を申請しないと県に伝達したことを受け、県は4月にも対抗措置として無許可の岩礁破砕を確認した上で工事の差し止め訴訟を提起する方針を固めた。併せて判決まで工事を停止する仮処分も申し立てる。翁長雄志知事は16日、県庁で会見し、那覇空港第2滑走路増設工事では国が岩礁破砕許可を申請したことを引き合いに「国の二重基準で、決して許されるものではない」と防衛局の対応を強く批判。その上で「4月以降に無許可の岩礁破砕行為が行われた場合、工事の差し止め訴訟の検討も含めあらゆる法的手段を駆使する」と正式に表明した。

 翁長知事は併せて防衛局が不申請の判断根拠に用いた水産庁の見解について「従来の政府見解や水産庁の技術的助言と矛盾する。辺野古案件のために恣意(しい)的に変更されたとしか受け取れない」と指摘し、直ちに水産庁に見解をただす意向を示した。一両日中にも水産庁に見解をただす文書を送る。

 工事差し止め訴訟に備え、県は4月1日から、名護市辺野古沖に漁業取締船を出し岩礁破砕などの行為が行われていないか確認作業に入る。現在の岩礁破砕許可では対象外となっている汚濁防止膜の重りとなるコンクリート製ブロックの海中投下についても、岩礁破砕がないのか併せて確認していく構えだ。

 辺野古新基地建設の阻止に向けて取り得る手段について、翁長知事は差し止め訴訟のほかに、工事中止の行政指導や漁業調整規則52条に基づく告発を挙げた。

 辺野古埋め立て承認の「撤回」判断については「常に視野に入っているが、その時々で判断していく」と述べるにとどめた。

 防衛局の不申請については「法治国家の一員がとるべき手段とは到底考えられない対応が続いている。国にとって都合のいい解釈で法の運用が許されれば法の安定性が危ぶまれる」と強く批判した。