社会

対馬丸、奄美に刻む 漂着地・宇検に慰霊碑

 【奄美大島で岩崎みどり】1944年8月に米潜水艦の魚雷攻撃により沈没した疎開船「対馬丸」の慰霊碑の除幕式が19日、鹿児島県奄美大島の宇検村船越(ふのし)海岸で行われた。沖縄県内から遺族や生存者ら20人余りを含め、計約100人が出席し、海に向かい犠牲者に祈りをささげた。


対馬丸慰霊碑の竣工式に参列した久志小中学校の児童生徒9人と、沖縄から参加した遺族や生存者ら=19日、奄美大島の宇検村船越海岸

 多くの犠牲者が漂着した奄美大島に慰霊碑が建立されたことで、関係者は「遺族が慰霊する場ができた。対馬丸を後世に伝える場にしてほしい」と願った。

 対馬丸の慰霊碑は那覇市若狭の「小桜の塔」と、撃沈場所に近いトカラ列島の悪石島(鹿児島県)にある。奄美大島にはなかったため、これまで同島を訪問した遺族や生存者からは「どこに向いて祈ったらいいか分からない」という声があった。

 体験者が少なくなる中、当時救助に当たった宇検村の大島安徳さん(90)の「事件を忘れてはいけない」との思いを受け、地元住民が「建立実行委員会」を立ち上げた。宇検村の補助金を受け、建立に至った。

 元田信有村長は「戦争の記憶を継承し、地域の平和教育に役立てる碑にしたい。伝えていくことが私たちの使命だ」と話した。

 対馬丸に乗船し、救護された平良啓子さん(82)=大宜味村=は「奄美大島の人たちの情けは忘れない」と話した。沖縄県の浦崎唯昭副知事は「多くの人が慰霊碑を訪れ、平和の尊さを発信し続けることを願う」と述べた。式典後、対馬丸記念会から宇検村の児童生徒に対馬丸に関する教材が手渡された。

英文へ→Tsushima Maru Memorial Unveiled in Uken