「ポルノ、搾取の娯楽」 北原みのりさん、日本の特殊性に警鐘


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 作家で国家の暴力性を問い続けている北原みのりさんと、ジャーナリストの山城紀子さんのトークショー「性と国家」が19日、那覇市西の県男女共同参画センターてぃるるで開かれた。北原さんは公娼制度や「日本軍『慰安婦』制度」などの歴史に重ねて、国家と性の関係が個人にどう影響するかを見る必要性を説いた。日本のポルノ映像などで暴力が頻繁に描かれ、幼児も登場する実態に「性搾取を娯楽として楽しんでいる。社会の病理だ」と批判し「社会の問題として考えていかなければならない」と警鐘を鳴らした。

トークショーで意見を交わす作家の北原みのりさん(左)と、ジャーナリストの山城紀子さん=19日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるる

 トークショーは「性と国家講演会実行委員会」が主催し、約180人が訪れた。

 北原さんは、韓国とヨーロッパに比べて、日本のポルノ産業が発展している特殊性にも言及。「性暴力を女性の人権問題として普遍化しながら、一方で加害者を絶対に許さず、追及することをやっていかなければならない」と力を込めた。山城さんは壇上で、「らい予防法」(1996年に廃止)によって強制的に隔離され、堕胎を強いられた元ハンセン病患者の手記を読み上げた。「国策に、医療従事者が手を貸してきた」と指摘した。被害者である女性が、子を失ったことで自分を責め、沈黙し続けてきた二重の苦しみにも言及した。