【キラリ大地で】アメリカ スタディーツアー参加 エイプリル・ニンモさん


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沖縄の誇り胸に成長

ジュニア・スタディーツアーの参加者と共にエイサーを披露するエイプリル・ニンモさん=2016年8月、那覇市

 海外に移住した県人の子弟らが参加した第6回世界のウチナーンチュ大会のプレイベント「ジュニア・スタディーツアー」に参加した少女が、古里訪問を通じて成長している。カリフォルニア州ロサンゼルス在住の県系2世、エイプリル・ニンモさん(18)は日本語ができず、暗い気持ちで昨年7月31日からジュニア・スタディーツアーに参加した。だが、県内外や世界各地から参加した約40人の参加者との交流やエイサーを通して、ウチナーンチュとしてのアイデンティティーと絆を強めた。エイプリルさんは「沖縄でみんなの愛を受けて成長した。最も重要なことは、ウチナンチューの一人になれたことだ」と胸を張った。

 9月からUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に進学予定というエイプリルさん。母は那覇市出身、父はヨーロッパ系でチェロキーインディアンの血を引いている。

 昨年ツアーに応募したものの、合格通知が来ても素直に喜べなかった。「日本語ができない」などの不安が頭をよぎり、沖縄へ行くことが苦痛に思えてならなかった。

 沖縄に到着してからも、一人で座っていることが多かった。ほとんど誰とも口をきかないまま過ごしていた。ある日、大きな部屋に通された。ゲームで参加者同士の交流を促すプログラム。戸惑いながら参加したが、かたくなだったエイプリルさんも次第に打ち解け、同年代の参加者たちと溶け合った。

 日本語を話せないという不安はどこかに消え、「いちゃりばちょーでー」という沖縄の心で家族のように仲良くなったという。県主催の歓迎会では、参加者が互いの持ち味を生かして得意技を披露し、会を盛り上げた。

 翌日からは連日、沖縄の歴史や文化を学ぶために首里城などを見学した。バスでの移動はさらに参加者の一体感を高めた。仲間と練習したエイサーを那覇市のパレットくもじ前で披露し、息の合った演舞で絆の深さを示した。

 ツアー中、午前2時ごろまで起きて仲間たちと語り合った。そのためバスの中では寝てばかりだったが、東村村民の森つつじエコパークでのハイキングで、仲良くなった参加者らと一緒に川で泳いだことが一番の思い出だという。

 最終日の「サヨナラパーティー」。海外からの参加者は日本語でツアーの印象を語ることになっていた。日本語に苦手意識があったエイプリルさんだが、ツアーで学んだことを思い出しながら少しずつ言葉を紡ぐと、関係者から大きな拍手を送られた。

 別れの日。空港に着くと、沖縄の友人らが見送りに来ていた。涙交じりに抱き合い、再会を誓った。

 このほど開かれた沖縄県人会の年次総会で体験談を報告したエイプリルさん。「ジュニア・スタディーは私の人生において最良の経験で、忘れられない思い出になった。全ての感動を表現することはできないが、確実にみんなの愛を受けて成長した。もう一度あの時に戻って、その時の感動に浸りたい」と話した。(当銘貞夫通信員)