級友手作り卒業式 インフルで本番欠席 冨満さんのために


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卒業式を企画した同級生らに見送られながら花道を通る冨満さん=14日、名護市立大宮中学校(同校提供)

 【名護】名護市立大宮中学校(大城覚校長)で14日、1人だけの卒業式が開かれた。11日の正式な卒業式をインフルエンザで欠席した同校3年の冨満優星(とみみつゆうせい)さん(15)のために、3年1組(33人)の級友が発案・企画した。沖永良部島から2学期に転入してきたばかりの冨満さん。沖縄での生活に不安を抱えないようにと、級友たちが手作りの卒業式で冨満さんの門出を祝った。

 冨満さんは沖永良部島の和泊中学校から父親の仕事の関係で名護市に転居してきた。全校生徒約140人の和泊中から400人余の大宮中へ転校し「人が多い」と慣れない環境だった。だが、親しみを込めて声を掛けてくる級友らのおかげで「すぐに慣れた」と笑顔を見せる冨満さん。欠席せざるを得なかった卒業式の日は「残念な気持ち」で自宅で療養していた。

 冨満さんが式に出られなかったことを気に掛けた級友の仲尾鈴音さん(15)が「みんなと卒業した気分を味わわせたい」と“1人だけの卒業式”を提案。すると級友らは率先して手伝いを申し出た。「3年1組は団結力が強く、どんな行事にも明るく頑張ってきた」と担任の山城圭介教諭(29)。クラス全体で準備を進めた。

 大城校長、教職員らも協力し、本格的な形式で式を実現させた。仲尾さんは「(冨満さんが)とても喜んでいたのでうれしかった」と声を弾ませる。冨満さんは「卒業証書をもらうだけかと思った」と本格的な式に驚き「すごい。うれしかった。感謝したい」と感慨深げに語った。(古堅一樹)

卒業式を企画した同級生らと記念撮影する冨満優星さん(前列中央)