旧大聖禅寺鐘、県立博物館に 「最古」戦渦超え公開


この記事を書いた人 新里 哲
県立博物館・美術館に設置された鐘楼につるされた「旧大聖禅寺鐘」。除幕式後の初突き式で、500年以上前に造られた鐘の音を響かせた=22日午前、那覇市おもろまち

 琉球王国時代の1456年に製作された、現存する沖縄最古の梵鐘(ぼんしょう)の一つ、旧大聖禅寺鐘(きゅうだいしょうぜんじしょう)の除幕式が22日、県立博物館・美術館で開かれた。梵鐘は沖縄戦で、米軍の戦利品として持ち去られた。琉米歴史研究会の交渉により返還され、同館に寄贈された。梵鐘は、同館の屋外に新たに設置された鐘楼につされており、除幕式後の初突き式で561年前に作られた鐘の音を響かせた。

 博物館・美術館の開設10年に合わせ、博物館常設展の魅力を向上する事業の一環で整備された。

 同館の田名真之館長は「琉球王国が仏教国だったことを象徴する鐘が戻ってきた。機会を見付けて鐘を打ち、500年以上前の鐘の音を、県民や観光客の皆さんに聞いてもらいたい」と話した。

 鐘は米国バージニシア州の海兵隊学校に保管されていたという。琉米歴史研究会による20年以上の交渉を経て、1999年に返還された。

 鐘には四角の渦巻き模様「雷文」が施されており、日本の鐘と違う沖縄の特色を見ることができる。