「思い出新聞」で恩師に感謝のサプライズ 浦添商


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 恩師に感謝を伝えようと、浦添商業高校の比嘉藤子教諭と情報処理科2年6組の29人は17日、6組の担任で新年度から他校に移る中石エリ子教諭にサプライズで「思い出新聞」を贈った。那覇商業高校で20年前、中石教諭の教え子だった比嘉教諭。「今になって初めて先生の思いが分かった」と感謝を胸に生徒らと新聞づくりに取り組んだ。2代にわたる教え子からの思いがけないプレゼントに、中石教諭は「教師冥利(みょうり)に尽きる」と顔をほころばせた。

教え子“2代”で恩師の中石エリ子教諭(2列目、右から4人目)に思い出新聞を贈った2年6組の生徒と比嘉藤子教諭(同5人目)=17日、浦添市の浦添商業高校

 中石教諭は国語科で、自称「生活態度などをがみがみ言う母親タイプ」。高校時代はウーマクーだったという比嘉教諭は教員となり、浦添商業高校に赴任した4年前に中石教諭と再会した。「同僚ではあるが自分にとっては先生」と職場の悩みを聞いてもらっているうちに、人前で見せない涙もこぼすこともあったという。

 20年を経て恩師の愛情を実感した比嘉教諭は、自身が授業を担当し、中石教諭が担任する2年6組の生徒たちと新聞づくりに取り組んだ。分かりやすく書かれた小中学生新聞を参考に、生徒たちは目を引く写真の選び方や、伝えたいメッセージを伝える配置や配色を工夫し、1人ずつ個性豊かな新聞を完成させた。

 仲西由美さん(17)は「クラスが盛り上がるよう支えてくれた中石先生に感謝を伝えたい」と体育祭の思い出を温かな色合いでつづり、「普段は口にしない将来のことも新聞でなら伝えられるかな」と「3年の目標」を大きく描いた。

 田原誠さん(17)は「他の人と違うと面白いと思った」と文字の大きさや書体を工夫して、本物の新聞のような紙面にし「先生と勉強できて良かった」とたくさんの文章に思いを込めた。

 比嘉教諭は生徒たちを「予想以上の作品を創り上げた。まだまだ出していない力がある」とたたえ「自分がそうだったように数十年後に結果が出ることもある。だからこそ教員はやめられない」と恩師と生徒たちに囲まれて満面の笑みを浮かべた。