外国人の農業就労解禁を JA沖縄中央会など、特区活用要望


社会
この記事を書いた人 松永 勝利
県の島尻勝広農林水産部長(中央)に要請書を手渡すJA沖縄中央会の砂川博紀会長(左から3人目)JAおきなわの末吉孝和経営管理委員会会長(同2人目)、大城勉理事長(右端)、慶留間照雄常務=28日午前、県庁

 沖縄の農業分野で労働力不足が課題となる中、JA沖縄中央会(砂川博紀会長)とJAおきなわ(大城勉理事長)は28日午前、県庁に島尻勝広農林水産部長を訪ね、政府で議論が進んでいる「国家戦略特区」で外国人の農業就労を解禁する制度について、沖縄で活用することなどを要望した。
 要望したのは①農業就労における国家戦略特区制度の活用②技能実習生の受け入れに費用の生産者の負担軽減―の2項目。
 外国人の農業就労に関連し、JAおきなわは来年度から外国人を技能実習生として受け入れ、農家にあっせんする事業を始める。現行制度では受け入れられる品目が施設園芸や畑作、養豚など6職種に限られ、通年雇用が必要となるなど課題もある。
 国家戦略特区制度に基づいて外国人を農業支援人材として受け入れられるようになれば、外国人を複数の農業経営体に派遣できる。農繁期だけ雇用することも可能になり、農業の人手不足を効率的に補えることが期待できる。
 沖縄はすでに国家戦略特区に指定されているが、活用しているメニューは観光分野、保育、医療分野にとどまっており、さらに新たな分野での活用を求めた形だ。
 JA沖縄中央会の砂川会長は「農業だけではなく、県内の幅広い産業で人手不足感が出ている。農水部がリーダーシップを取り、議論してほしい」と要望した。
 島尻部長は竹富町で今期に労働者が確保できず、製糖工場の操業が遅れる例があったとし「人手不足をどうするかの(議論をする)時期に来ている。国の動向を見極めて、JAや関係者と連携を取りながら対応したい」と語った。【琉球新報電子版】