琉球大学医学部の学生が、乳幼児の保護者に抗生物質(抗菌薬)を正しく使うよう呼び掛けるポスターを作製し、沖縄県内の医療機関に配布する取り組みを始めている。抗菌薬を使い過ぎると抗菌薬が効かない耐性菌が増えるとされる。耐性菌のまん延が問題化する中、学生主体で社会貢献しようと企画した。学生らは「保護者に耐性菌の怖さや抗菌薬の正しい使い方を知ってほしい」と話している。
作製したのは、小児科医を志す医学生で、研修医らの全国組織「こどもどこ」から派生した「Smile Future JAPAN(SFJ)」沖縄支部のメンバー6人。こどもどこ副代表で、琉大医学部4年の宮城孝雅(たかつね)さん(26)を中心に、昨年末から取り掛かった。県小児科医会の新年会でプレゼンテーション(公開発表)を行って資金提供者を募り、110部を作製、県内医療機関に配布した。ポスターには、抗菌薬は細菌だけに効き、ウイルス性の風邪には効かないなどの知識も盛り込んだ。
キャラクターを考えた神谷里奈さん(23)は「漫画形式で分かりやすく伝わるよう工夫した」と話す。
宮城さんは「今後、保護者が見られるよう、お薬手帳に貼れる大きさの抗菌薬適正使用シールを作りたい」と意欲を見せる。
一方、医師が風邪と肺炎の初期の区別が困難として、抗菌薬を処方する現状もある。琉大付属病院感染対策室の仲松正司医師は「医師は患者に十分に説明し、患者と認識を共有することが重要だ。学生の活動を機に、耐性菌の問題が身近に迫っていることを社会に知ってほしい」と話した。