バイトに追われ、部活諦め 沖縄の高校生、バス賃月4万円も 公共交通脆弱、家計を圧迫


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
遠くから通学する生徒たちの交通費負担は大きい(写真は登校後に校舎に入る生徒たち)

 琉球新報社が沖縄県名護市の県立北部農林高校を対象に実施したアンケートでは、通学費負担の大きさが浮き彫りになった。通学費を捻出するため、アルバイトする生徒も多い。生徒が放課後自由に過ごせる時間が限られ、部活動の運営に影響したり、親が送迎に時間を割かれたりするなど、さまざまな課題が生じている。

 本部町から北農高に通学する2年生の男子生徒は入学後、運動系の部活動への入部を諦めた。週3~4回、飲食店でアルバイトをしている。通学費(バス賃)は往復で1日約1200円、昼食代と教科書代もかさむ。「親からは交通費をもらいづらくて遠慮してしまう。バス通学費がもう少し安くなれば」と望んだ。

 大宜味村から通う2年の女子には、月約4万円のバス賃が重くのしかかる。母親に半分を出してもらい、残りをアルバイトの収入で賄う。定期券を買えば運賃は割引されるが、まとまった現金の用意が難しい。「せめて通学費の補助があれば」と口元を引き締めた

 アルバイトが、部活動の機会喪失につながる事例もある。教職員の1人は「部員が集まらず、部活動が成立しづらい」と複雑な表情を見せる。ある部活は部員1人の日があり、練習もままならず、顧問が生徒の相手をしているという。

 今帰仁村に住む2年の女子は、1年のころ交通費を稼ぐためにアルバイトをしていた。2年になると、ガソリン代の方が安いという理由で、親が車で送迎するようになった。学校は職場と反対方向のため、親は時間を割かれる。

 先述の教職員は「地域の将来を担う子どもたちが、学業以外の事に神経を使わざるを得ない実態がある」と指摘、「行政は改善策を考えてほしい」と要望した。