亡き祖父がくれたランドセル、大切に使い12年 うるまの石川さん姉妹


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
(左から)頼男さんの写真を抱える石川千賀子さん、ランドセルを使い続けた莉子さん、茜さん=3月24日、うるま市石川

 【うるま】3月にうるま市の城前小学校を卒業した石川莉子さん(12)と茜さん(18)の6歳違いの姉妹は2人で12年間、一つのランドセルを使い続けた。ランドセルは1年前に亡くなった祖父の頼男さん(享年86)が、茜さんの入学時にプレゼントした。莉子さんは高学年になると「こんなに古くなったランドセルは使いたくない」と思ったが、母の千賀子さん(48)から祖父からのプレゼントと聞き、その後は補修して大切に使い続けた。

 ランドセルはカバーが割け、ポケット部分はひもが外れて補修しないと落ちるほどまで使い込んだ。莉子さんはミサンガで結んで直し、雨が降った日は、帰るとすぐにタオルで拭いて大事に扱った。

 祖父の頼男さんはいつも家の1階の椅子に座り、姉妹の帰りを見守っていた。ランドセルを見て「まだ使ってくれているのだね」と声を掛けてくれると、莉子さんもうれしくなった。

 千賀子さんは「よくぞここまで使ってくれたと親としてもありがたい気持ちでいっぱいだ。いつでも物が買える今の時代だからこそ、大切に使うことを伝えたい」と語る。

 千賀子さんは戦後の物のない時代を生き抜いた両親から「もったいない。直して使いなさい」と言われて育ってきた。「教えを受け継ぎ、姉妹がこれからも物を大事にしようと思ってくれたらうれしい」

 莉子さんは4月から石川中に入学する。茜さんも家族と離れ、那覇の寮で暮らす。役目を終えたランドセルは今、仏壇にある頼男さんの写真の脇に飾っている。

 いつも優しく接してくれた天国の頼男さんに莉子さんは「ランドセルを買ってくれてありがとうと言いたい」と感謝した。茜さんも「ここまで使ったことを見てほしい」と笑った。