「勇気と笑顔」の7年間 筋ジスの又吉辰也さん 文通相手の上原さんが面会 記念の700通目を手渡し


社会
この記事を書いた人 平良 正
記念すべき700通目の絵はがきを又吉辰也さん(右)に手渡し、笑顔を見せる上原祥典さん=11日、宜野湾市の国立病院機構沖縄病院

 難病の筋ジストロフィー症を患い、37年間にわたり宜野湾市の国立病院機構沖縄病院に入所する又吉辰也さん(53)と、元医療従事者の上原祥典さん(60)は7年来の文通友達だ。この度、上原さんが又吉さんに宛てたはがきが通算700枚に到達。記念すべき1枚を直接渡そうと11日、上原さんは同院に又吉さんを訪ねた。「たくさんの勇気と笑顔をもらった7年間だった。ありがとう」。上原さんが手書きの絵はがきを手渡すと、又吉さんは「1000通目ももらえるように、元気で頑張らないとね」とはにかんだ。

 文通開始のきっかけは、数年前の新聞記事だった。全面介助が必要であるにもかかわらず、川柳集の発表や絵画の個展開催など、何事にも精力的に取り組む又吉さんの姿に感銘を受けた上原さんが激励のメッセージを送った。

 上原さんは週に2、3枚のペースで投函(とうかん)する。返信する形で又吉さんは2カ月に1回、特殊なパソコンを使い書き上げた手紙に、自身が1カ月に1回発行する院内紙「まったんネット」2カ月分を添える。体が思うように動かない又吉さんにとって、手紙を書くのは大変な作業だ。

 手紙の内容は共通の趣味である囲碁の話、身の回りで起こったことや感じたこと、時には辺野古新基地建設に対する意見など時事問題に踏み込むこともある。「良き友人に出会えた。交流をこれからも大切にしたい」と上原さん。又吉さんも「ときどきは院内の先輩後輩を含め、囲碁のお相手をお願いするね」とにっこりした。(当銘千絵)