沖縄県出身初、世界で選手ケア 石嶺さん、セーリング日本代表サポートスタッフに


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セーリングの日本代表スタッフに選出され、チーム強化へ意気込む石嶺忍さん=11日午前、宜野湾マリーナ(大城直也撮影)

 船艇の帆で風の力を受け動力として水上を滑走し、速さや技術を競うセーリング競技。帆を引く瞬発力や風に負けないように帆を維持する持久力が求められ、大会が数日に及ぶことから疲労を軽減・除去する体のケアも重要な「競技」の一つとされている。その日本代表のオリンピック強化サポートスタッフに、県出身としては初めて石嶺忍さん(37)=浦添市=が選ばれた。14日から始まるフランス合宿へ帯同し、代表選手のフィジカルトレーニングやケアなどに当たる。(屋嘉部長将)

 フランス合宿は、23日から現地で開催されるISAFセーリングワールドカップイエール大会に備えたもの。石嶺さんは「初めてのことで緊張は大きく、プレッシャーもある」としつつも「選手のポテンシャルを引き出せるようにサポートしていきたい」と大役にやる気満々だ。

 石嶺さんは、もともと営業などの仕事をしていた。趣味のバレーボールでぎっくり腰になった際に整体師にケアをしてもらい、興味を持った。整体師の資格を得て、治療に当たっていたが、けがの予防の重要性を知り、スポーツトレーナーの勉強をし、6年前に働き始めた。

 現在は、与那原町で小中学生へ体幹トレーニングなどを指導したり、高齢者に介護予防運動の指導をしたりしている。

 2月に座間味島で行われていたセーリング日本代表の合宿にボランティアで参加。ストレッチやトレーニングの指導や疲れを取るセルフケアの方法などを教え、選手と交わった。合宿後、協会関係者からサポートスタッフの打診を受け、4月に正式に就任した。

 「いつかはオリンピックに関わりたい」という目標を持っていた石嶺さん。代表の選手らは2020年の東京オリンピックでのメダル獲得を目指し、世界各国の大会に挑む。石嶺さんもことしだけで国内外の遠征に10回、チームに帯同することが決まっている。

 遠征場所によって調整方法を変える難しさもある。「環境によってトレーニングやケアの方法を現地で考えないといけないのが難しいが、ベストを尽くしたい」と話す。「選手がメダルを取ることをイメージして、自分ができることで選手のパフォーマンスが上がるようにサポートしていきたい」と力強く語った。