沖縄県、「幹細胞バンク」設置へ 再生医療後押し


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 根治が難しいとされる糖尿病や脊髄損傷などの病気に対応する再生医療の製品開発企業の沖縄県内誘致に向け、県は2017年度から再生医療に使う脂肪幹細胞の安定供給システム構築に取り組む。事業期間は19年度まで。安全性と有効性の高い細胞貯蔵庫(ストック)を設置し、身体の修復や形成、病気の予防・治療を含む再生医療などの製品を開発する企業や医療機関に提供する。県によると、脂肪幹細胞の安定供給システム構築は国内では珍しいという。

 がんなど危険性のある細胞があるかどうかを確認する評価技術の開発に取り組むほか、許可を得た患者から取った細胞で培養した有効細胞を貯蔵し、その細胞で臨床研究を実施する。5月にも公募し、6月に事業を始める。県は事業の委託は大学医学部などを想定。「細胞を供給する仕組みの構築により、再生医療製品を開発する企業の県内集積を狙いたい」と話している。

 慢性的疾患や高齢化に伴う疾患などの治癒も期待されるため、再生医療は広く注目されている。研究が進めば、再生医療による多様な治療も可能となる。骨髄損傷で起きた障がいなどは現在治療不可能とされているが、幹細胞で損傷した中枢神経を再生することで、身体機能が回復できる。