44年ぶり伊江村長選 住民、揺れる思い


社会
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選挙ポスターを見詰める村民=13日、伊江村

 【伊江】16日に44年ぶりの投開票を迎える伊江村長選。村選挙管理委員会によると、期日前投票が始まって2日で有権者の14・46%に当たる548人が票を投じ、高い関心が示された。「対立は避けた方がいい」「活性化のため投票は必要だ」。1973年以来の村長選投票を巡り、村民の思いは揺れている。

 40年以上投票がなかったのは、過去に選挙を巡って村民同士の対立が深刻化したことが背景にある。前回選挙で両候補のどちらとも親戚関係にあったという60代男性は「選挙の時のしこりは40年たっても消えない。それを知っているから『選挙をしてまでは』となってしまったのでは」と話す。

 一方、若い世代からは、初めて経験する村長選に期待する声も上がる。永山隼也さん(29)は「選挙を通じ、伊江島が良くなっていけばいい」と期待を込める。30代女性は「島を二分したため無投票で村長を決めていたようだが、選挙はあった方がいい。次からも選挙で村のリーダーを決めていきたい」と話す。

 投票による政策論議に期待する声もある。40代女性は「どちらが勝っても、負けた方が何を訴えていたのかをよく考えるべきだ。島全体でより良い伊江島について考えるきっかけになってほしい」と力を込めた。

 村選管の照屋善市委員長は「期日前投票初日で200票を超えたのは初めてではないか。昨年の県議選、参院選では22票だった」と関心の高さに言及する。

 県明るい選挙推進協議会会長の照屋寛之沖縄国際大学教授は「話し合いで決められた候補者は前政権への指摘がしづらい。無投票は、有権者が選択する権利を行使できないということだ」と指摘。「選挙は政策を磨き上げていく貴重な機会だ」と話した。(赤嶺可有)