「もし人に当たったら」 沖縄・恩納の米軍基地「流弾」 住民、怒りと不安 過去に何度も事故


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 沖縄県恩納村安富祖の米軍キャンプ・ハンセン内で14日までに、建設中の安富祖ダム工事現場にあった車両と水タンクが破損し、近くで銃弾らしき物が見つかった問題で、現場に近い安富祖区の住民からは「人に当たったらどうする」「命は宝。許されない」などと怒りと不安が入り交じった声が上がった。

 安富祖区の宮里勇区長(54)は、14日夕に外間毅副村長から直接説明を受けた。宮里区長によると、中から銃弾らしき物が出てきた穴のあいた水タンクは、基地のフェンスの内側、およそ100メートルしか離れていない。宮里区長は「少し角度が変わっていれば民間地に飛んできていた可能性もある。人に当たっていれば大惨事だ」と憤った。

 安富祖区の周辺は畑が広がる場所で、日中は農作業をする住民も多い。「当たったらどうするんだ。地元の人は本当に怒っている」。農家の上里芳正さん(71)は声を荒げる。

 安富祖区に住む男性(60)は「米軍の射撃訓練は標的があり、そこに向けて撃つはずだ。基地内だからといってこんなむちゃくちゃなことは許されない。命は宝だ」と強調した。男性によると、50年ほど前にも同区内で、石垣や田んぼに銃弾が撃ち込まれた事件があった。「このような訓練はやめてほしい」と語った。

 一方、沖縄県は14日午後5時ごろ、沖縄防衛局から連絡を受けた。県は銃弾による傷であれば米軍などに抗議するとみられるが、県基地対策課は「まずは事実関係を明らかにする必要がある」と確認に追われた。県は米軍の演習状況なども今後防衛局に確認するとした。

 県によると防衛局は車両の傷と、周辺にあった銃弾のような物の因果関係は現段階で「不明」で「米軍が調査中」と説明したという。