長年、沖縄現代史の研究と市民運動をけん引してきた沖縄大学名誉教授の新崎盛暉さん(81)の自叙伝「私の沖縄戦後史-米軍支配時代を日本(ヤマト)で生きて」(岩波書店)の出版を記念したシンポジウム(主催・沖縄対外問題研究会)が15日、沖縄大学で開かれた。政治史や思想史などの研究者5人が、新崎さんの半生と業績を通じて沖縄と日本のあるべき姿について語り合った。約125人が参加した。
新崎さんは1936年東京生まれ。専門の沖縄近現代史研究を通して、日本社会の沖縄への対応に鋭い問いを発し続け、現在も沖縄の市民運動の論理的支柱となっている。自叙伝は新崎さんの子ども時代から東京での「沖縄資料センター」の活動を経て沖縄大学に赴任するまでを描いている。
シンポジウムでは、沖縄国際大学教授の鳥山淳さん(現代沖縄政治社会研究)が自叙伝を「沖縄にとってなくてはならない言論空間をつくるプロセスのドキュメント」と評した。
最後に登壇した新崎さんは「スローガンだけで、政治闘争はできないということで資料を集め、はまり込んだのが僕の生活。どんな意味を持つのか総括したい」と話した。