「きれいな海になぜ」 辺野古映画「ZAN」名護で上映会


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ドキュメンタリーフィルム「ZAN」のワンシーン(イメージミル提供)

 【名護】日本自然保護協会と広告制作会社のイメージミル(東京)は5日、国の天然記念物で名護市辺野古沖の大浦湾などを生息域とするジュゴンを題材にしたドキュメンタリーフィルム「ZAN(ザン)」を名護市民会館で上映した。鑑賞した人たちはジュゴンに思いを寄せるとともに、米軍普天間飛行場の移設計画に伴う新基地建設による埋め立て工事に反対していく決意を新たにした。

「ZAN」のワンシーンで大浦湾に沈められたコンクリートブロック(イメージミル提供)

 ザンはうちなーぐちでジュゴンの意味。日本自然保護協会の志村智子さんは「まずは地元の人に見てもらいたかった」と、新基地建設が進む名護市を県内初の上映場所に選んだ理由を説明した。

 映画ではジュゴンが戦後食料として捕獲され減少したことや、神の使いとして珍重された歴史、沖縄のウミンチュとの物語などが描かれている。

 このほか、大浦湾に生息するアオサンゴの群衆や、大浦湾に沈められたコンクリートブロックの様子を海の中で撮影した。辺野古集落の住民の声も取り上げた。

あいさつするリチャード・グレハン監督(右)と映画に出演した木佐美有さん=5日、名護市民会館

 監督のリチャード・グレハンさんは「沖縄の状況に無関心な人が多い。米国や多くの人に伝わるよう内容をシンプルにした。一日でも早く多くの人に伝えたい」とあいさつした。

 映画を見た名護市の仲井間政光さん(81)は「こんな素晴らしいサンゴや生物を埋めるのを許してはいけない。この海は沖縄だけじゃない。日本全部の財産だ」と基地建設中止を訴えた。

 市汀間に住む松田藤子さん(76)は「地元の私たちも水面しか見ていなかった。海の中の映像を見て改めて感激した。こんな素晴らしい海を埋め立てて基地を造るのはあり得ない。県民にも県外の皆さんにも見てほしい」と感想を述べた。

英文へ→ZAN movie about Henoko’s dugongs holds first screening in Nago