ご先祖満足、高価ウチカビ 泰陽貿易が発売


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断切金箔をほどこしたつややかさが特徴のタイプ(左)と、木くずを練り込み飛散防止をしたタイプ

 旧盆や清明祭に欠かせないあの世のお金「ウチカビ」。4月上旬から新しいデザインのウチカビ「古琉球」が沖縄県内のスーパーにお目見えしている。発案したのは泰陽(たいよう)貿易(浦添市)の漢那用哲さん(74)。「鳩目銭」を紙に打刻している従来型に比べ、高価とされる古銭「寛永通宝(かんえいつうほう)」を打刻しており、漢那さんは「これならより多くのお金を祖先に持たせることができる」と、胸を張る。

 ウチカビは後生(ぐそー)(あの世)での通貨といわれる紙銭。仏壇やお墓に手を合わせた後、燃やしてご先祖さまに送る。

 漢那さんが考案したウチカビは2種類。断切金箔(たちきりきんぱく)と朱色を施したつややかなウチカビと、木くずを練り込んで重さを出した二つで、木くずを練り込んだ黄土色タイプは、燃やす際に飛び散りにくく使いやすいという。いずれも台湾で製造されている。

 古銭収集家でコレクター友の会副会長の翁長良明さんは「寛永通宝1枚は鳩目銭50個と同額ぐらい」と査定する。

新しいウチカビ「古琉球」をアピールする(左から)友利浩さん、漢那用哲さん、上原清吉さん=浦添市内

 従来のウチカビは、昭和製紙(うるま市)が主に生産している。同製紙営業部によると、1ケース(100束)の生産量は昨年度7891ケースだった。

 漢那さんは仕事で東南アジア各国を訪れる機会が多い。掛け軸、船形、紙幣、洋服などの形をした多種多様なウチカビに目を見張り、収集した。「ウチカビは沖縄の財産。時代に合ったデザインがあれば若者の継承につながる」と夢を広げる。

 漢那さんの提案に卸販売の上原清吉商会(上原清吉会長)とあらかき商事(友利浩社長)も賛同し、販路拡大を進めている。「古琉球」の2種類は各498円(税込み)。「断切金箔タイプ」が1袋50枚入りで、「黄土色タイプ」が100枚入りとなっている。
(高江洲洋子)