医療費、中3まで窓口無料も 沖縄県、低所得世帯支援で来年度にも 


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 子どもの貧困対策と低所得者世帯の子どもの医療費支援の充実に向け、県は「こども医療費助成事業」の見直しの検討に入ることを決めた。低所得者世帯の子どもが医療機関を受診した場合、窓口で支払わないで済む「現物給付」を導入し、通院も中学校卒業まで拡充する案を検討する。一方「持続可能な制度」(県関係者)とするため、「低所得世帯」「中間世帯」「高所得世帯」の三つの所得区分を新たに設け、高所得世帯は助成の対象外とする方向。

 県は早ければ来年10月から新制度を導入する考えで、所得区分の線引きや市町村との合意形成が検討の焦点となる見通しだ。

 県は現行の助成のまま「現物給付」に移行した場合、約8億円の事業費増が見込まれると試算しており、財政負担の抑制のためには所得区分が必要だと捉えている。県の見直し例の通りに、制度変更がなされた場合は現状の約13億円から約3~5億円の事業費増となる見通し。

 所得区分について、県庁内では「低所得世帯」を住民税の非課税世帯とし、「高所得世帯」は「児童手当の所得制限額を超える世帯」や不妊治療の助成の対象外となる世帯収入730万円を上回る世帯とする案などが上がっている。今後、市町村などと検討を進める。

 県は5月から市町村や医療機関などに意向調査を開始し、2018年度予算案の要求までに骨子をまとめる。骨子の作成後はシステムの改修や条例の制定、周知などに取り組む考えだ。

 「こどもの医療費助成事業」は各市町村が行うこども医療費助成について、対象経費の2分の1を補助する制度。県は15年11月から、窓口で医療費を支払った場合、後に支払額が銀行口座に振り込まれる「自動償還」払いを導入している。

 ただ、低所得者世帯の中には、窓口で支払うお金がないために、医療機関を受診しない事例もあり「現物給付」制度の導入を求める声が上がっていた。

 県保健医療部の砂川靖部長は「本当に手持ちのお金がなくて病院に行けない世帯に手厚くしていく必要がある」と語り、制度変更の意義を強調した。