コープおきなわ、家庭向け電力参入 来年4月新会社設立


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 コープおきなわ(浦添市、山本靖郎理事長)は28日までに、電力小売り事業に参入する方針を決めた。みやまスマートエネルギー(福岡県みやま市、磯部達社長)との共同出資で夏までに新電力会社を設立し、2018年4月から家庭向けの電力供給開始を計画している。廃食油を使ったバイオマス発電を電源として調達するなど、再生可能エネルギーの拡大を後押しすることが狙い。県内の組合員22万人への呼び掛けなどで3年で契約5万件を目標にする。

 16年4月の電力小売り全面自由化で、大手電力以外でも家庭向けに電気を販売できるようになった。沖縄では電力卸売市場がないことなど電源確保の難しさがあり、家庭向けの新電力参入は実現していない。

 沖縄を含め全国の生協が加盟する日本生協連は11年の福島第1原発事故を受け、原発に頼らず地球環境に優しいエネルギー政策を打ち出しており、電力自由化を契機に、全国各地の生協が組合員向けに再エネ比率の高い電力供給を始めている。コープおきなわの嘉手川繁之省エネ・電力事業担当部長は「安定電源が少ない沖縄では生協単独での事業は厳しいが、地域と一緒に再エネ電源の調達や供給に取り組む独自の形に挑戦したい」と語った。

 コープおきなわは15年度から、地域全体でエネルギーを効率的に利用する「スマートコミュニティー」(環境配慮型都市)の構築可能性事業を那覇市内で実施してきた。この成果を基に新電力を設立し、10月ごろにコープおきなわの店舗や事業所の電気の切り替えなど、家庭への供給に向けた準備を進める。

 運営ノウハウを提供するみやまスマートエネルギーは、日本初の自治体による新電力会社。市民から買い取った余剰電力や市内のメガソーラーを電源に、地域の需要を賄う「電気の地産地消」を進める。家庭の電力消費量を制御する「ホームエネルギー・マネジメントシステム」(HEMS)をネットワーク化し、地域の電力需給の「見える化」や行政情報の配信など、ITを用いた生活支援サービスを電力とセットで展開する。

 磯部社長は「家庭向けの市場開放が進んでいない沖縄で、再エネを利用した地域づくりのモデルを構築したい」と述べた。