「あなたを忘れない」 被害者悼み献花 米軍属女性暴行殺人


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献花に訪れ、手を合わせる人たち=28日午後、恩納村安富祖

 【恩納】元海兵隊員による米軍属女性暴行殺人事件の発生から1年を迎えた28日、遺体が遺棄された恩納村安富祖の現場は、女性を悼み、献花する人が絶えなかった。祭壇は手向けられた花や飲み物などで埋まった。「あなたを絶対に忘れない」「二度と悲劇は起こさせない」。静かに祈る人、こらえ切れず涙があふれる人、祭壇の前まで行けなくても車の中から手を合わせる人、多くの人の祈りが現場を包んだ。

 「怖かったでしょう。苦しかったでしょう。あなたを忘れない。二度と繰り返させない。自分ができることをします」。初めて現場を訪れた公務員の玉元孝治さん(32)=金武町=は女性に誓った。「基地がある金武町では、米兵をよく見る。一緒にお酒を飲むこともある。事件や事故があるたびに、心の折り合いをぎりぎりでつけて良い関係を保とうとしている。でも、こんなことがあると…」と声を詰まらせた。

 時間が許せば花を手向けに来るという女性(42)=うるま市=は「彼女のことは忘れない。忘れてはいけない。(基地がある)沖縄だからこそ起きた。怒りと悲しみは消えない」と話した。

 公務を終えた稲嶺進名護市長も訪れ手を合わせた。「なぜこういう事件が起こるんだろう。続くんだろう」。と言葉をかみしめるように語った。事件発生日が「屈辱の日」だったことに触れ、「(基地に苦しむ)沖縄の現実だ。これを変えないといけない」と話した。