キングス倍返し CS進出に望み Bリーグ第57戦


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 プロバスケットボールの琉球ゴールデンキングス(西地区3位=26勝30敗)は30日、沖縄市体育館で京都ハンナリーズ(同地区4位=25勝31敗)と第57戦を行い、88―55で大勝した。同日、大阪エヴェッサ(同地区2位=28勝28敗)がシーホース三河(同地区1位=44勝12敗)に敗れた。2位を狙うキングスと大阪のゲーム差は1に縮まり、キングスはチャンピオンシップ(CS)への自力出場に望みをつないだ。第1クオーター(Q)から徹底した守備で相手選手に仕事をさせず、抜かれても素早いカバーで簡単には打たせなかった。リバウンドもラモント・ハミルトンらが競り勝った。攻撃は岸本隆一や津山尚大への重圧に真っ正面から向かわず、好機があれば全選手がリングを狙い、厳しい状況ではファウルを誘った。特に山内盛久が相手守備をかき乱すプレーで活躍した。次戦は5月3日、愛知県体育館で名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦する。(観客数3310人)

キングス 27勝30敗
88―55(15―11,25―19,21―7,27―18)
京都 25勝32敗

 【評】第1Qから京都のエース・岡田優介に攻撃のきっかけをつくらせず、難しい体勢で打つタフショットを打たせ、リバウンドを奪い攻撃に転じて波に乗った。第2Q以降はキングスは得点を全て20点台に乗せる安定的な試合運びを続けると、第3Qでは京都を7点に抑えて圧倒した。第4Qに入ると、精神的に余裕が出たキングスは要所で観客を沸かせる速攻などを決め、33点差の大勝を収めた。(嘉陽拓也)

◆全選手がベスト

 伊佐勉HC(キングス)の話 死に物狂いだった全選手が自分の持ち場でベストな働きを表現し、ファンのために戦ってくれた。特に山内盛久が期待通りのハッスルプレーで京都をかき乱してくれるなど、ほぼパーフェクトの活躍だった。次の名古屋D戦も必ず勝ってホームに戻ってくる。

◆リズムに乗れず

 浜口炎HC(京都)の話 キングスのエナジーにやられた。昨日もそうだが、前半からキングスの一番いい形でファーストブレークをやられてしまった。こちらは(ファウルなどの)ゲーム以外でフラストレーションがたまり、リズムに乗れなかった。

◆山内、攻守で沸かす/初のブザービーターも

キングス―京都 第2Q終了のブザーと同時に3ポイントシュートを決めるキングスの山内盛久=30日午後、沖縄市体育館(新里圭蔵撮影)

 京都に攻撃の手を封じられ、精神面からプレーが崩れた29日の第1戦の悔しさを倍返しにするような33点差の大勝利だった。

 第1Qから内外にボールを回す京都の攻撃に対し、キングスはボールを持たない選手にも高い位置で重圧を掛けた。タフショットを誘うとゴール下ではラモント・ハミルトンやレイショーン・テリーらがリバウンドを着実にもぎ取っていく。特に京都の岡田優介に攻撃のきっかけをつくらせない効果が絶大だった。

 攻撃では岸本隆一や津山尚大も無理なドライブよりもアシストで味方の好機を演出した。各選手が点に絡み京都に的を絞らせず、そのまま第2Q以降、突き放していった。

 この日の主役は山内盛久だ。第2Qから出場し、守備ではパスカットから津山の3点弾につなげて会場を沸かせる。攻撃では広いスペースを使うドリブルで京都の選手を引き付けて味方を生かしたほか、バスケ人生初のブザービーターを決めて勢いづいた。ここ数試合の出場時間が減っていた山内は「腐らずステップアップの準備をしてきた」と胸を張った。

 33点差の大勝に観客席からは「昨日で勝っていてくれたら」と、悔しそうな声も漏れたが、それ以上に、敗戦の翌日には万全に修正しつつ、新たな役者も生み出すキングスの底力に多くの拍手が送られていた。主将の岸本は「残り3試合は楽には勝てない。負けたら終わる緊張感も楽しさに変えていけるように、良いチーム状態をつくっていく」と、すがすがしい笑顔で語った。
(嘉陽拓也)