コーヒーで久米島おこし 地元産、今秋にも初収穫


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久米島産コーヒーを栽培している安村猛さん(中央)と息子の安村翔太さん(左)、森島喜一さん=4月24日、久米島町

 沖縄本島から西に約100キロの久米島で、レゲエバー「スパイラルマーケット」(久米島町)を経営する大阪府出身の森島喜一さん(58)が2013年からコーヒー栽培に取り組んでいる。今年10月後半から11月前半にかけて初めてコーヒーの実の初収穫が見込まれ、地元産コーヒーの商品化が期待されている。地元農業関係者やコーヒー焙煎(ばいせん)事業者らとも連携、コーヒー栽培・販売を久米島の新たな産業とし、島おこしへの貢献を目指す。

 森島さんは13年に高級コーヒーとして知られる「ブルーマウンテン」の産地、ジャマイカ観光局からコーヒー苗を入手した。試験的に鉢で育ててみたが、台風被害で失敗した。14年に島でコーヒー栽培の実績がある安村猛さんに依頼し、久米島産のコーヒー栽培を本格化した。

 コーヒーの実は収穫できるまで4~5年かかるため、当初はインドネシアなどからコーヒー豆を輸入、島内で焙煎し、「久米島珈琲」のブランドで売り出した。14年度の販売量約60キロからスタートし、15年は前年比約5倍の300キロ、16年は88.3%増の565キロに達した。

 森島さんは「久米島はコーヒー産地のハワイ・コナ市と姉妹都市であり、将来はハワイに並ぶコーヒー産地として発展させたい」と意気込む。

 現在コーヒー農園の面積は約6600平方メートルで、200本を栽培している。16年まで開花する木は数本にとどまっていたが、今年は約40本が花を咲かせた。安村さんは「1本の木から1キロの実が採れるだろう」と収穫の日を楽しみにしている。今後コーヒー栽培面積を増やし、千本まで増やしたいという。

 6月にもコナ市のコーヒー農家から直接栽培方法の指導を受ける予定だ。将来は久米島産コーヒーを「球美(クミ)珈琲」ブランドで販売し、希少価値の高い新たな特産品を目指す。

 森島さんは「コーヒー栽培をきっかけに、グリーンツーリズムの発展や、観光客らの島での長期滞在などにつなげたい。久米島を癒やしの島にしていきたい」と語った。(呉俐君)