「公式議事録でない」 沖縄県、高裁に理由書 県道文書開示訴訟


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 東村高江などを通る県道70号の日米共同使用を巡り、日米両政府と県が結んだ文書の開示について、両政府の同意を得ずに県が開示決定したのは違法とした那覇地裁判決に関し、県は2日までに福岡高裁那覇支部に控訴理由書を提出した。理由書で県は、公開請求されている文書はいずれも日米合同委員会の公式な議事録ではないと主張。さらに国は土地の提供に関する協議や許可などの事務を担う立場であり、土地所有者としての財産権の主張は区別すべきだとした。県は3月に控訴していた。

 国は不開示とすべき理由として「日米合同委員会の議事録は(日米)双方の同意がない限り公表されない」とした1960年の合同委員会合意の存在を挙げている。

 県は「1960年の合意は、合同委員会の公式議事録を対象とするものであり、本件の請求文書は合同委員会の正式な議事録ではない」と主張。県は開示請求対象文書はメモや協定書だと位置付けている。

 国は文書が公開されれば土地所有者としての国の固有の利益が侵害されると主張している。

 県は「国は米国への提供土地について交渉や使用許可を行う立場」と事務を担う立場であると主張し「財産上の地位あるいは当事者の地位にあるものとは到底解されない」と指摘。土地所有者と事務担当者としての立場は区別されるべきものだとし、国は原告適格を満たさないと主張している。

 開示は違法とした地裁判決を「曖昧模糊(もこ)な理由で判断」したと断じ「米国が(文書を)出すなと言っているから出してはいけないと言っているのと何ら変わらない。情報公開という国民の権利に関して司法は主体的な判断を放棄するものだ」と厳しく批判している。