米環境法、海外米軍も対象 オスプレイ訓練是正 ヘンキン弁護士に聞く(ワシントン発)


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 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】ハワイ島ウポル空港での米海兵隊輸送機MV22オスプレイの訓練で米海兵隊が環境保護団体から環境影響評価に反する過剰な訓練の違法性を指摘され是正した。「沖縄の住民も同様に米政府に訴訟を起こせる」と訴える環境保護法律団体アースジャスティスのデビット・ヘンキン弁護士に8日、話を聞いた。

デビット・ヘンキン弁護士(アースジャスティス提供)

 ―ウポル空港の過剰訓練を確認したきっかけは。

 「2016年末頃、住民から連絡を受けた。住民は米軍の空港使用、特にオスプレイ訓練を懸念し、海兵隊が11年に提案した訓練の実施に反対した。12年の環境影響評価最終報告書で軍は同空港で訓練を行わないと結論づけた一方、主に緊急着陸や悪天候の場合に限り、空港の使用を年約25回に限定すると約束した」

 「だが、住民の監視で今年1~3月で最終報告書の数字をはるかに上回る800回超の訓練を確認した。3月28日にハワイの海兵隊に書面を送り、軍が過剰な訓練の影響を明らかにせず、環境に悪影響を及ぼさない代替案を考慮していないことは国家環境政策法(NEPA)に違反していると指摘した」

 ―今回の結果をどう受け止めているか。

 「アースジャスティスの各支部はこれまで米軍に対し、環境法の順守を求めて訴訟を起こしてきた。今回は軍が4月28日の回答で違法行為をすぐに認め、訴訟を起こすことなく是正した。非常に幸運で驚くべきことだ。政府機関が間違いを認め、自発的に修正することは一般的ではない」

 ―沖縄では住民の反対を押し切り訓練を強行している。

 「米国の環境法の多くは海外米軍の活動にも適用され、沖縄の住民も米国民と同様に、米連邦裁判所に訴えを起こすことができる。基地の騒音や環境問題に対処するよう米国に圧力をかけるため、住民は国や県の支援を求め、国や県は米軍が国民や環境に害を及ぼさないよう米軍に対し積極的に働き掛けるべきだ」

 「アースジャスティスは国家歴史保存法の下、辺野古の新基地建設に関するジュゴン訴訟も担当している。裁判所が軍に対し、法の順守を求める憲法上の役割を果たすと確信している」