貧富の差が激しい? ジニ係数全国2位の要因は分厚い低所得者層 【貧困雇用 沖縄経済を読み解く(3)】


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 沖縄は相対的貧困率(注)が全国で突出して高く、沖縄県が試算した子どもの相対的貧困率は29・9%と全国平均の16・3%の1・8倍となります(2013年、国民生活基礎調査を基に算出)。

 「都道府県別の貧困率、ワーキングプア率、子どもの貧困率、捕捉率の検討」を行っている山形大学の准教授の推計によると、生活保護費の基準となる最低生活費以下の収入で暮らす世帯の割合としての貧困率は、沖縄が34・8%と全国平均の18・3%と比べて約2倍です。子どもの貧困率も沖縄は37・5%と全国13・8%の実に2・7倍となっています(2012年)。

 一方、ジニ係数の高さは全国2位や3位です。ジニ係数は、相対的貧困率とともに所得の不平等あるいは格差を測るための尺度の一つです。ある国(地域)で所得が完全に均等に分配されている場合はジニ係数が0となり、1に近づくほど不平等度が高いことを意味します。

 沖縄は確かに全国に比べジニ係数が高いのは事実ですが、前回指摘した通り沖縄は一方で富裕層も多いという意図的な統計の引用と重ねてジニ係数が全国2位の高さ、という場合、その原因は貧困層と富裕層の二極化によるものというイメージがつくられています。

 しかし、前回も述べたように、1千万円以上の所得階層の割合は、沖縄は全国一低いのです。沖縄は299万円までの所得層がとても高く、300万~399万円までの層が中位、そして400万円以上の所得層が低いのであり、低所得者層も多く高所得者層も多い二極型ではなく、低所得者層が分厚いという構造なのです。

 現在、県を中心とした貧困対策が講じられていますが、この実態をしっかりと把握し、低所得者層の所得を押し上げるための雇用・経済対策と一体となった取り組みが必要不可欠です。(安里長従、司法書士)

 (注)全国民の所得を高い方から低い方へ並べ、その真ん中の額を計算し(中央値)、さらにその額の50%以下(貧困線)の所得の人がどれだけいるのかという割合。日本の貧困ライン(2012年)は、単身世帯で約122万円/年、2人世帯で約173万円/年、3人世帯で約211万円/年、4人世帯で約244万/年。