格差の実態は? 中間層と全国一多い非正規に起因 【貧困雇用 沖縄経済を読み解く(4)】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 連載の第1~3回で見てきたように、同じ格差を計る指標である相対的貧困率とジニ係数という二つの統計から分かることは、沖縄は、低所得層が分厚いことから相対的貧困率とジニ係数を高くしているということになります。

 具体的には、富裕層とはいえない公務員や正規雇用者、個人事業者(個人事業者も大部分が中間層)と、非正規雇用者のつくる格差になります。非正規の割合は全国平均38・15%、沖縄は44・52%で全国1位です(2012年)。

 しかしそれは、沖縄は貧富の差の激しい二極化の超先進県というイメージとは、程遠いものです。参考図を見て分かるように、高所得層が多い二極型とは違って、高所得層を除いた部分の中で、分厚い低所得の層がジニ係数を押し上げているのです。

 これまで検証してきた内容から沖縄の実態は以下のようにまとめられると思います。

 (1)沖縄は貧困率が突出して全国一高い一方で1千万円以上の高所得層も多いと誤解されているが、1千万円以上の高所得者は人口比で全国一少ない。

 (2)格差の指標の一つであるジニ係数は全国でも高いが、突出して全国一高いわけではない。

 (3)沖縄は貧困層の割合が多く、低所得者のつくる層がジニ係数を高くしており、貧富の差の激しい二極化の超先進県というイメージとは、程遠いというのが実際である。似たようなジニ係数の数値でも要因が違っていることに留意すべきだ。

 (4)現在、県を中心とした貧困対策が講じられているが、この実態をしっかりと把握し、低所得者層の所得を押し上げるための雇用・経済対策と一体となった取り組みが必要不可欠だ。
(安里長従、司法書士)