キングス競り負け 三河に72―76 BリーグCS準々決勝第1戦


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスは13日、愛知県のウィングアリーナ刈谷でチャンピオンシップ(CS)準々決勝第1戦を行い、72―76でシーホース三河に競り負けた。西地区1位の三河に対し、同2位のキングスは今季レギュラーシーズンは1勝5敗と負け越していたが、最終盤まで手に汗握る接戦を繰り広げた。第1クオーター(Q)からレイショーン・テリーの個人技と岸本隆一の得点力が光った。三河のエース金丸晃輔に苦しめられたがリードした。第2Qに逆転を許し、第3Qも三河の外国籍選手の活躍に我慢の時間が続いたが、キングスはチームワークで逆転した。しかし、第4Qは三河の守備の重圧と外国籍選手のリバウンド力で主導権を奪われ、惜しくも勝利を逃した。三河との第2戦は、14日午後2時5分に開始。対戦成績が1勝1敗となった場合は、第2戦の後に前後半5分間の第3戦を行う。そのほかの試合はリーグ中地区1位の川崎がワイルドカード枠のSR渋谷に89―75で勝利。東地区1位の栃木は80―73でワイルドカード枠の千葉に先勝した。東地区2位のA東京は中地区2位の三遠に90―75で快勝した。(観客2742人)

▽準々決勝第1戦
三河(西地区1位) 1勝
 76―72(20―23,22―15,18―25,16―9)
キングス (西地区2位)1敗

 【評】第1Qのキングスは、外国籍選手2人にPG3人をコートに送り、素早い平面バスケから、テリーの個人技を中心にリードをつくる。第2Qは守備で三河の外国籍選手を警戒すると、アウトサイドからリングを狙われ、逆転された。しかし、金城茂之らの3点弾で踏ん張った。

 第3Qは素早い展開の中、両チームが主導権を奪い合ったが、キングスが素早い連係を見せて再び先行する。しかし、第4Qは、三河が外国籍選手の力強いリバウンで勢い付くと、キングスはじりじり点差を広げられ、振り切られた。

◇テリー奮闘 次戦へ手応え

キングス―三河 第3Q、ゴール下へドリブルで切り込んでシュートを決めるレイショーン・テリー=13日、愛知県のウィングアリーナ刈谷(大城直也撮影)

 今季西地区を独走し真っ先にCS出場を決めたシーホース三河。激戦を乗り越えて、リーグで最後のCS切符をつかんだキングス。今季1勝5敗と大きく負け越している三河を粘り強い守備で76点に抑えて善戦したものの、攻撃ではインサイドを攻めきれず、得点が伸び悩んだ。しかし、スピードや勢いだけでなく、個々の個人技と連係で第1、3Qは競り勝つなど、選手らは第2戦の勝利に向けて手応えをつかんだ。

 気を吐いたのが、レイショーン・テリーだった。第1Qから瞬発力あるドライブでリングを狙い続けた。その積極性で三河から立て続けにファウルを奪うと、落ち着いてフリースローを決めていく。さらに、岸本隆一からのパスを素早くつないでラモント・ハミルトンのダンクを演出し、第1Qのリードをけん引した。第3Q以降は警戒を強める三河の守備と疲れでシュートの精度が落ちかけたが、チーム最多の12リバウンドでボールへの執念を発揮し続け、第3Qまでで25点を奪った。

 第4Qは出だしから三河が柏木真介の守備や個人技、アイザック・バッツのリバウンドからの全員バスケでキングスを飲み込んでいった。接戦の末に惜しくも敗北した結果に、テリーは「最後の最後まで食らいつくことができたので、戦えることは証明できた」と力強く語った。リベンジに向け「第2戦に負ければシーズン終了を意味する。与えられたプレー時間だけでなく、ベンチでも集中していく」と気持ちを高めた。

(屋嘉部長将)

◇岸本 4Q入り反省

キングス―三河 第2Q、ドリブルでインサイドへ切り込む岸本隆一

 63―60でリードして迎えた第4Q。開始直後に三河に7得点を奪われ、逆転負けした。岸本隆一は「第4Qはソフトに入ってしまった。大事な時間に挑戦者としての心構えが足りなかった」と反省を口にした。

 キングスは第1Qから高さのある三河に対して、岸本を中心に速い展開で試合を進め、岸本は第1Qで7得点を挙げた。第2Qで逆転されるも第3Qではディフェンスリバウンドをしっかり取り、攻撃につなげ逆転した。

 第4Qは三河が守備を固め、リバウンドをキープし始める。岸本のシュートもリングに嫌われ第4Qは無得点に終わった。負けが許されない第2戦へ向け、「失うものはない。攻めの姿勢を見せ、冷静にゲームコントロールしたい」と、チームを引っ張る主将が力を込めた。

◇金城「リズムつかめず」

キングス―三河 第3Q、激しいマークにあいながらも冷静にシュートを決める金城茂之

 キングス発足時から在籍し、大舞台を経験してきた金城茂之は「試合を通してリバウンドを取られ、リズムをつかめなかった」と敗因を語った。

 第2Qは三河の金丸晃輔やギャビン・エドワーズの活躍に苦しんだが、金城は金丸に張り付いてシュートを打たせず、攻撃では冷静なパス回しや終了間際には3点弾を決めるなど、キングスファンを沸かせた。

 第4Qで振り切られた試合結果に、「簡単にスチールされた後のイージースコアもいくつかあった」と反省した。だが、「全てが悲観的ではなく、第3Qで逆転できたことは攻守において第2戦も戦える自信になった」と前を向いた。

◇31点の金丸警戒、周囲でカバーを 伊佐キングスHC

 シーホース三河との、準々決勝第1戦は接戦の末に第4Qで逆転を許し惜敗した。伊佐勉HCは試合後、「戦えることは感じた。明日勝って、(1勝1敗による)サードゲームに持ち込むため、ファイトしよう」と選手らを鼓舞した。

 試合は攻撃力ある三河を76点に抑えたが「(キングスの)72点が問題。シュートを決めきれるようにしたい」と改善点を挙げた。

 警戒していた三河の金丸晃輔に計31点を奪われたことには「火がついた金丸選手はどうしようもない。これほど2点弾の確率が高いとは」と脱帽したが、明日に向け「警戒し、周囲でカバーしたい」と対策を練っていく。

◇冷静にできるかが大切
 鈴木貴美一HC(三河)の話 琉球の守備が良くシュートが入らなかった。第4Qで守備とリバウンドができたこと、琉球がシュートを落としたことが勝因。明日もいかに冷静にできるかが大切だ。ハードなゲームになると思うが、琉球に負けないくらい厳しくプレーし2勝したい。