沖縄県内、建築単価上昇21万 全国上回り、バブル超え


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 沖縄県内の1平方メートル当たりの建築単価が上昇を続け、2016年には平成に入って初めて20万円台に突入したことが23日までに分かった。上昇率は全国を上回り、単価はバブル期の1990年前後を超える水準に達している。観光客の増加に伴いホテル建設への投資が増えたことや、人手不足による人件費の上昇が背景にある。建設資材の価格も上昇傾向にあるため「今後も建築単価が上がる」との予想も出ている。

 りゅうぎん総合研究所が国土交通省の建築着工統計を参照してまとめた資料によると、2016年の1平方メートル当たりの建築単価は全国が前年比2・8%増の約19万8千円、県内は同10・8%増の約21万2千円だった。県内の建築単価はバブル期に11万~15万円台で推移しており、16年はそれを大きく上回っている。

 同研究所は建築単価上昇の背景として(1)国外や県外の資本がホテルに投資して全体を引き上げている(2)人手不足で職人を確保するために人件費が上がっている―ことなどがあると分析している。建築単価を建築物別で見ても、ホテルを含む「宿泊業・飲食サービス業用建築物」が16年は前年比29・4%増の約34万円と大きく伸びている。

 建築資材の価格は17年4月時点で、異形棒鋼が前年同月比12・3%増、H形鋼が同10%増になるなど、上昇傾向にある。同研究所は「土地の価格も上昇傾向にあって、資材価格も上がっているので、建築単価も今より上がる可能性がある」と述べた。

 宅地の需給に関する調査・研究などを行う沖縄住宅産業協会の兼村明事務局長は「県内の所得水準を上回るペースで建築単価が上昇しており、望ましい環境とは言えない」と現状の問題点を指摘する。「人手不足などの課題を解消して、緩やかな上昇にすることが望ましい」と指摘した。