山田實氏死去、98歳 沖縄写真界を牽引


社会
この記事を書いた人 松永 勝利
東京都写真美術館に作品が収蔵されることが決まったことを喜ぶ山田實さん=2014年9月4日、那覇市久米、山田写真機店

 1950年代から沖縄の人たちの暮らしを撮影し、沖縄写真界の興隆に尽くした写真家・山田實(やまだ・みのる)氏が27日午後1時55分、肺炎のため糸満市の病院で死去した。98歳。那覇市出身。自宅は那覇市久米1の1の14。告別式は31日午後2時から2時45分、那覇市松山1の9の1、大典寺で。喪主は長男勉(つとむ)氏。
 1918年生まれ。県立第二中学校(那覇高校の前身)でカメラと出合った。明治大学卒業後、就職し、勤務していた旧満州(中国東北部)で召集され、シベリア抑留を経験。引き揚げ後、53年に沖縄に帰り「山田写真機店」を開業した。54年に琉球新報写真展特選を受賞して写真家としてデビュー。子どもや働く人々の写真が評価された。濱谷浩氏、東松照明氏らを案内するなどして県外写真家との交流も深めた。
 2012年に県立博物館・美術館で個展。同年「山田實が見た戦後沖縄」(琉球新報社編)を出版した。昨年10~11月に浦添市美術館で開いた画家の故谷内六郎さんとの二人展が最後の展示会となった。
 95年那覇市政功労者表彰、2002年地域文化功労賞、04年紺綬褒章受章、2009年琉球新報賞、2013年日本写真協会賞功労賞。写真集「こどもたちのオキナワ 1955―1965」(2002年、池宮商会)、「沖縄写真家シリーズ『琉球烈像』第1巻 故郷は戦場だった」(未來社)など。【琉球新報電子版】