遺骨収集次世代へ 「応援会」が国吉勇さんの活動記録


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
国吉勇さん(左)から遺骨収集で蓄積した情報を聞く西尾慧吾さん(中央)、倉吉寛さん=29日、糸満市

 沖縄戦の犠牲者の遺骨や遺品の収集を約60年間、ボランティアで続け、昨年3月末で収集活動を引退した国吉勇さん(78)の経験や記憶を次代に継承する取り組みが29日、始まった。取り組むのは国吉さんの活動を支援する県内外の有志4人で発足した「沖縄戦遺骨収容国吉勇応援会」。同会は29日、国吉さんの案内で本島南部の避難壕跡などを巡った。今後、国吉さんが記憶している過去に遺骨や遺品が出た場所などを記録し地図などの資料にまとめる予定。国吉さんが収集した遺品を常設で展示する資料館設立も目指す。

 「沖縄戦遺骨収容国吉勇応援会」結成のきっかけは、代表の野田良太さん(31)が福岡県から沖縄に移り住んだ2014年ごろ、知人を介し国吉さんに会う機会があり、遺骨収集について話を聞いたことだった。

 野田さんは「今も(沖縄戦の)遺骨が出る事実を知り、この事実をどうにか伝えないといけない」と強く感じ、活動を支援してきた。国吉さんが16年3月に活動を引退したことを受け、遺骨収集作業を継承するためにも「記憶をデータ化しておかないと何もできない」と思い立った。野田さんは記録化の必要性を指摘する。

 若い世代も会に参加している。同会で学生共同代表を務める東京大1年の西尾慧吾さん(18)は、神戸市の灘高校3年の時、国吉さんが収集した遺品や戦争体験者の証言をまとめた展示会を同校3年の文化祭で展示した。その後、関西などで13回の展示会を重ねてきた。国吉さんから聞き取った情報をメモする西尾さんは「今のうちに国吉さんに聞いたことを記録し、同世代や下の世代に伝えたい。地図に記録し遺品をデータベース化したい」と述べ、国吉さんの経験を継承する決意を示した。

英文へ→Group created to record Isamu Kuniyoshi’s knowledge of remains collection for future generations