沖縄産子牛の安定的な県外輸送を目指し、JAおきなわと琉球海運、セリ牛事故共助積立金運営委員会でつくる家畜海上輸送協議会(会長・大城勉JAおきなわ理事長)が、琉海の既存貨物船を家畜輸送に対応できるようにする改造に取り組んでいる。屋根が付いた室内部分に家畜を載せる密閉型を採用。甲板に家畜を載せていた従来の船に比べて直射日光を浴びずに済み、輸送中の子牛のストレス軽減につなげる。10月にも就航する予定だ。
現在、子牛の県外出荷に使用する琉海の船「にらいかない」が11月に退船することに伴い、国、県の補助金も活用しながら2億4800万円を投じて貨物船「かりゆし」を改造する。
沖縄の子牛出荷頭数は全国4位。県産子牛が県外の肥育産地に運ばれる際、沖縄本島―鹿児島間を約19時間かけて海運で輸送している。2005年には鹿児島へ輸送中に牛、豚約310頭が熱中症で死ぬ事故も発生しており、船内の温度や換気状態が家畜に与える影響が大きい。
子牛輸送に対応した「かりゆし」の改造は、広島県の造船所で9月中に行う。家畜を載せるスペースに通風機を設置したり、側面に開閉式の窓を設けたりして、臭いがこもりやすい船内の換気機能を強化する。ミストも100機設けて熱を発散しやすくするなど、家畜の輸送環境の改善に力を入れる。
JAおきなわ畜産部は「魅力ある子牛の生産基盤を維持・発展させるため取り組みたい」と話した。