72年越し現地慰霊祭開催へ ハワイ移送の沖縄戦捕虜 出発前に実行委会見


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記者会見で捕虜体験などについて語る渡口彦信共同代表(右から2人目)=1日午後、県庁

 沖縄戦で捕虜となり、移送された米ハワイで無念の死を遂げた県人12人を弔う「ハワイ捕虜収容所沖縄県出身戦没者慰霊祭」が現地時間の4日、ハワイ・オアフ島で開催される。2日の出発を控え1日午後、同慰霊祭実行委員会(渡口彦信、高山朝光共同代表)のメンバーらは、那覇市泉崎の県庁で記者会見を開いた。会見で、1945~46年の収容所での生活を収めた写真や元捕虜の証言など、これまで県史でもほとんど取り上げられてこなかった「ハワイ県人捕虜」の貴重な資料を収めた記念資料集「平和への道しるべ」の発刊を発表した。

 会見に臨んだ渡口共同代表は、戦後72年をへて初めて開催される慰霊祭について?異郷の地で死去し、今なお遺骨が行方不明となっている12人の鎮魂?傷ついた県人捕虜を物心両面で支えた県系人への恩返し?沖縄・ハワイ協働による世界平和の発信―の三つの思いが込められていると訴えた。

 慰霊祭実行委を含む慰霊祭参加者77人は2日午前、那覇空港からハワイに向け出発する。一行は現地時間4日午後3時からホノルル市の慈光園本願寺で開かれる慰霊祭に出席するほか、元捕虜2人の墓標が見つかったとされる米軍施設スコフィールド・バラックスやホノウリウリ収容所跡地などを視察する。

 資料集は慰霊祭参加者に配るほか、県内の学校などに順次配布する予定。
【琉球新報電子版】