困窮世帯の父半数が正社員 沖縄県の貧困実態調査


社会
この記事を書いた人 松永 勝利

 沖縄県は2日、沖縄子どもの貧困実態調査事業の報告書として、15~16年度に県内小中校生とその保護者を対象に、経済状況が日常生活や進路に与える影響を把握しようと実施した調査の追加分析を発表した。国や県が困窮の基準とする等価可処分所得122万円未満の「困窮世帯」のうち、小1の母親の13・6%、父親の46・2%は「正社員」と答えており、正規雇用でも十分な収入を得られない沖縄の厳しい雇用環境が明らかになった。

 小中学生を対象にした「子ども調査」は15年度、県内全域の公立小学校32校の1年生の保護者、23校の5年生とその保護者、公立18中学校の2年生とその保護者に、学校を通して調査票を配布・回収した。各対象者とも有効回答数は約1200票で有効回答率は約7割。16年3月に結果の概要版を発表した。「高校生調査」は16年度、県立全60校の2年生とその保護者を対象に行い、4311組の親子から有効回答を得た(有効回答率59・1%)。17年3月に中間報告を行った。

 今回、小中と高校それぞれで分析を進めることで子どもの成長段階による特徴も明らかになった。通常の家計を「赤字」と答えた保護者は高2では32・9%に上り、小1の25・1%より厳しい世帯が増えた。食料を「買えなかった経験がある」とする世帯は小1の25・0%から高2で29・9%、衣料が買えなかった世帯は小1で33・1%から高2は39・2%に悪化した。世帯所得は300万円未満が37・1%から32・2%に減るなど、やや増加しているものの、子どもの成長とともに増える出費に追いついていないとみられる。【琉球新報電子版】