正社員の世帯でも半数「困窮」 沖縄県の子ども実態調査、進級・進学で赤字拡大


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 沖縄県は2日、2016年度沖縄子どもの貧困実態調査事業の報告書をまとめ、15~16年度に県内の小中高生と保護者を対象に実施した調査の追加分析を発表した。「困窮世帯」に該当する家庭の保護者の雇用形態を見ると、小1で46・2%、小5で48・4%、中2で47・4%がそれぞれ父親は「正社員」と答えており、正規雇用でも十分な収入を得られない県内の厳しい雇用環境が明らかになった。

 子どもの成長段階による困窮世帯の特徴も明らかになった。過去1年間に食料や衣料を「買えなかった経験がある」と答えた保護者は、高2は小1よりそれぞれ5~6ポイント増えた。家計が「赤字」と答えた保護者は高2で32・9%に上り、小1の25・1%より7・8ポイント増えた。子どもの成長とともに増える出費に収入が追い付かない様子がうかがえる。

 報告書は、県内雇用の改善や給付制奨学金の拡大など9項目の施策を提言した。

 小中学生対象の調査は15年度、県内全域の公立小学校32校の1年生の保護者、23校の5年生と保護者、公立18中学校の2年生と保護者に、学校を通して調査票を配布・回収した。有効回答数はそれぞれ約1200票で有効回答率はいずれも約7割。「高校生調査」は16年度、県立全60校の2年生と保護者を対象に行い、4311組の親子から有効回答を得た(有効回答率59・1%)。

困窮の基準として、小中学生は国や県が用いる等価可処分所得の122万円未満、高校生は127万円未満を「困窮世帯」とした。