300万未満世帯が最多 親の年収、年齢で増えず〈沖縄・子どもの貧困調査〉


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 県が2日に発表した沖縄子どもの貧困実態調査事業・報告書では、子どもの年齢が上がっても所得が増えず、母親の4人に1人、父親の2人に1人が週に6~7日出勤しているなど、厳しい労働環境の中、余裕のない精神状態で子育てをしている親たちの実態が明らかになった。

 年収が300万円未満の世帯は小1の子を持つ親が37・0%、高2では32・2%だった。しかし小1、高2ともに世帯年収が最も多い層は200万円~300万円未満で、子どもの年齢が上がっても所得が伸びない現状が表れた。

 就労状況では「週6日働く」と答えた高2の母親は21・6%、父親は43・1%、「週7日」と答えた母親が3・3%、父親は7・2%もいた。

 沖縄大の島袋隆志准教授は「県内に多いサービス産業は土日も仕事だ。また時給制の非正規労働者は労働時間が収入に直結するため労働時間や日数も増える」と指摘。県内の産業構造や雇用状況が親子の時間を圧迫している様子が浮かび上がった。

 精神状態では、小1の保護者のうち、これまでの育児で「子どもが煩わしくてイライラした」と答えた保護者が29・4%、「1人で育てているという圧迫感を感じる」人が16・9%となり、ゆとりのない日常で子育てに追われている。さらに43・8%は「子どもをたたいてしまった」、1・4%は「子どもの世話にあまり関心がない」と答えた。

 高2では過去30日間に「絶望的だと感じた」と答えた保護者が23%、「自分は価値のない人間だと感じた」が25・8%に上った。

 精神保健福祉士で親子支援に関わる沖縄大の名城健二准教授は「今回の有効回答率は7割。回答していない約3割にもっと大変な人がいるだろう」とさらなる分析の必要性を指摘した。