大田昌秀元知事が著書発刊 「鉄血勤皇隊」体系的に


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大田昌秀元知事の著書『人生の蕾のまま戦場に散った学徒兵 沖縄 鉄血勤皇隊』

 沖縄戦当時、鉄血勤皇隊として10代で戦場に動員された県内の中等学校全12校の生徒らの体験談や資料をまとめた元知事の大田昌秀さん(92)の著書『人生の蕾(つぼみ)のまま戦場に散った学徒兵 沖縄 鉄血勤皇隊』(高文研)が12日に発刊される。証言や記録を基に鉄血勤皇隊が編制されていく過程を体系的にまとめた。

 沖縄戦当時、沖縄本島や宮古、八重山の各地で13歳から19歳までの男子生徒らが鉄血勤皇隊や通信隊として動員され、少なくとも千数百人以上が命を落とした。

 同書は10代の生徒たちが動員された状況や戦場での動きなどを学校ごとに証言や記録でまとめている。鉄血勤皇隊の編制を巡る県と日本軍の覚書や、日本軍が鉄血勤皇隊の動員を指示・命令した文書なども収録した。

 編著者の大田さんは沖縄戦当時、鉄血勤皇隊に動員された。大田さんは同書で犠牲になった学友たちへの思いを込め「鉄血勤皇隊員らの戦場における悲惨な実態を可能な限り正確に後世に伝えねばならない」と記している。