与那原駅跡、国の登録記念物に 文化審議会答申


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復元された与那原駅跡。手前に戦火に耐え残った9本の柱がある(与那原町教育委員会提供)

 【与那原】国の文化審議会(馬渕明子会長)は16日、与那原町の「沖縄県鉄道与那原駅跡」を登録記念物(遺跡関係)に登録するよう文部科学大臣に答申した。官報告示の後、正式に登録される。登録対象は、現存している旧駅舎の柱9本と、駅舎復元工事の際に見つかったレールを含む土地1622・01平方メートル。県内の登録記念物(遺跡関係)は、2015年1月に登録されたうるま市の「平敷屋製糖工場跡」に続き2件目。近代の沖縄交通の歴史を理解する上で、重要な遺跡だと評価された。

今も残る沖縄県鉄道与那原駅跡の柱(町立軽便与那原駅舎展示資料館提供)

 沖縄県鉄道は1914年から45年の沖縄戦まで、本島中南部で県が経営していた鉄道。軌間762ミリの軽便鉄道で、「ケービン」の愛称で親しまれていた。与那原線、嘉手納線、糸満線の3線路からなり、そのうち那覇と与那原を結ぶ与那原線は3線路の中で最も早い14年に開業した。駅舎は沖縄戦で被害を受けたが9本の柱とレールの一部が残り、2015年には町立軽便与那原駅舎展示資料館として、駅舎が復元された。過去には残った柱を撤去し、小さな公園を造る計画もあったという。
 古堅國雄町長は「歴史的価値を尊重し、復元して残した判断は正しかった。MICEが完成すれば、世界中から訪れる人たちの観光スポットにもなる」として喜びを語った。