JAおきなわ、肉用牛繁殖へ 市場維持へ離島で検討


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八重山家畜市場で子牛の競りに注目する仲買人ら=2017年1月

 子牛の出荷頭数全国4位である県内肉用牛産業の維持・発展を目指し、JAおきなわ(大城勉理事長)は肉用牛の繁殖事業に乗り出す。県内畜産業は高齢化などによる農家戸数の減少などの課題があり、上場頭数の減少で市場が維持できなくなれば特に離島地域で影響が大きい。JAが上場頭数を下支えする必要があると判断した。2018年以降、伊江島、久米島、多良間島、黒島の4島を中心に検討する。

 16日に開かれたJAおきなわの通常総代会で、JAが直接経営するのに必要な経営規定の一部変更が承認された。

 県内では沖縄本島2カ所、離島6カ所の計8カ所で家畜市場が運営され、地域の重要な産業基盤となっている。県全体では子牛の取引頭数の減少は下げ止まり傾向を見せているが、農家の高齢化や後継者不足といった課題が深刻な離島では生産基盤の弱体化が続く。市場がなくなれば農家は子牛を競りにかけるために島外に輸送する必要が生じ、農家経営の打撃になる恐れがあった。

 県外から子牛を買い付けに来る購買者からも上場頭数維持の要望が強く寄せられている。JAは既存農家との競合を避け、頭数の減少を補完する役割と位置付け、事業を実施する。

 具体的な事業計画はこれからだが、モデルケースとして伊江島での繁殖事業実施が検討されている。伊江島ではJAが運営する肥育センターの老朽化が課題となっている。JAは建て替えに合わせて繁殖事業を始めることを視野に入れ、村とも協議する考えだ。

 崎原勲常務は「地域を支えるのもJAの重要な役割だ。上場頭数と市場を維持するためJAも繁殖に取り組んでいく」と強調した。