「悲惨な戦争、継承を」 国場自治会 慰霊塔を建立へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 那覇市国場自治会は、沖縄戦で亡くなった国場住民を追悼する「国場慰霊の塔」を地域内の高台に建設する。今年中に完成し、2018年から地域の慰霊祭を開く。地域での建立は、沖縄戦体験者も沖縄戦を知らない世代も、足を運びやすくすることが目的だ。

慰霊の塔を建立する国場自治会の渡嘉敷正彦会長(右端)ら=21日、那覇市の国場公民館

 渡嘉敷正彦自治会長(68)は「戦争の悲惨さを身近に感じ、継承してほしい」と話した。

 県の戦没者名簿によると、402人の国場在住者が亡くなったとの記録が残っている。そのうち264人の氏名と住所の記録が残っているが、138人の記録はない。

 慰霊の塔には名前が判明している戦没者を刻銘する。戦争を知らない世代にも身近に感じてもらうため、屋号も刻銘する。

 沖縄戦で母と兄、姉を亡くした新垣宗永さん(79)は「夜に壕(ごう)の外に出ている時、母と兄が米軍の砲撃で死んだ。国場はガジュマル1本が残っているだけの焼け野原だった」と当時を振り返る。

 「体験者も年を取って、平和の礎(いしじ)まで行くのは難しい。近くであれば拝みに行ける」と、慰霊の塔の建設を提案した。

 13年に自治会に提案し、準備委員会を設立した。準備委員長の城間秀雄さん(74)は「慰霊の碑で地域の若い世代に沖縄戦を語り継いでいきたい」と話した。(田吹遥子)