ノグチゲラ「生息域変化の可能性」 米軍オスプレイが影響?


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窓ガラスにぶつかって死んだとみられるノグチゲラ

 沖縄県東村の有銘小学校で13日、国の特別天然記念物で絶滅危惧種のノグチゲラ1羽の死骸が見つかった。環境省やんばる野生生物保護センターによると、東村有銘でノグチゲラの死骸が見つかったのは初めて。ノグチゲラの主な生息地域の南限は東村川田の福地ダムから大宜味村の塩屋湾までとされていた。

 生息地域より南側で見つかったことで、南限が広がっている可能性がある。ノグチゲラの生態に詳しい宮城秋乃さん(38)は「オスプレイなどの米軍機が飛ぶことで環境が悪化し、生息地を奪い合う競争が起きている可能性がある」と指摘した。

 13日午後1時半ごろ、有銘小学校の理科室の前で動かなくなったノグチゲラを児童が見つけた。ノグチゲラは雄の成鳥で体長約23センチだった。理科室の窓ガラスにぶつかって死んだとみられる。ノグチゲラのくちばしや体に血や傷痕はなかった。

 東村教育委員会によると、これまで高江小や高江小周辺の民家の窓ガラスにノグチゲラがぶつかって死ぬ事故は発生していたが、有銘小では初めて。有銘小では、これまでイソヒヨドリなどの野鳥が窓ガラスにぶつかって死ぬ事故が発生していたため、窓ガラスに鳥の絵などを貼って野鳥の衝突防止策を取っていた。今回は何も貼っていない窓ガラスに衝突したとみられる。

 東村高江や国頭村でノグチゲラの観察を続けて来た宮城さんは「ノグチゲラのひなは独り立ちした時に新たな縄張りをつくる。人が森を破壊することで、餌も減り、これまでの縄張りがなくなっているのではないか」と指摘した。

 東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場には新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)が六つ建設された。2007年に当時の那覇防衛施設局がまとめた環境影響評価(アセス)図書によると、6カ所全てのヘリパッド周辺にノグチゲラの巣穴が確認された。東村高江では、オスプレイをはじめとする米軍機の離発着訓練が頻発しており、周辺住民は騒音被害を訴えている。