「在来種、殺虫剤で殺さないで」 ヒアリ対策で専門家呼び掛け


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ヒアリ(沖縄科学技術大学院大学 OKEON美ら森プロジェクト/沖縄県外来種対策事業提供)

 強い毒を持つ南米原産の特定外来生物指定種「ヒアリ」や「アカカミアリ」の侵入が国内で相次いで確認され、沖縄への侵入も心配される。疑わしいアリを殺虫剤で駆除する事例も想定されるが、専門家は「もともと沖縄に生息する多くのアリを殺してしまう懸念がある。在来アリがいなくなると外来種が定着しやすくなるため殺虫剤使用は逆効果」と警鐘を鳴らしている。

 亜熱帯気候の沖縄はアリにとって絶好の生息環境であるため、種数が他地域より多い。国内に生息するアリ296種のうち、沖縄本島だけで約4割にあたる113種の生息が確認されている。

 県の委託を受けて実態を調査・研究する沖縄科学技術大学院大学(OIST)の吉村正志研究員は「多少の外来種の侵入は在来種が阻止してくれる。むやみにアリを恐れ殺すのではなく、沖縄の生態系を維持することが重要だ」と説明する。

台湾北部で6月7日に撮影したヒアリの巣(沖縄科学技術大学院大学 OKEON美ら森プロジェクト/沖縄県外来種対策事業提供)

 吉村研究員によると、ヒアリは農耕地や公園、開放的な草地などに好んで営巣する。直径25センチから60センチ程度のドーム状のアリ塚を土で作る習性があることが多くの在来種との違いの一つだという。

 琉球大学農学部の辻和希教授も殺虫剤で在来アリを駆除してしまうことの問題点を指摘する。辻教授はすでにヒアリが定着している米国の研究を例に挙げて「ヒアリが営巣しようとした際、在来アリがいれば、攻撃されて定着しづらくなる」と説明する。「一方、あらかじめ農薬使用によって在来アリがいなかったり、耕運機でさら地にしていたりすると、ヒアリにとっては営巣しやすい環境になる」と解説した。

 吉村研究員はヒアリが万が一県内に侵入した場合、農作業や畜産業に支障が出るほか、観光地としてのイメージダウンにつながることから観光業にまで影響が及ぶ可能性があると推測している。
(当銘千絵、当銘寿夫)